アドリアン・ピペリ(Adrian Tripp Piperi)が21m74の今季室内世界2位

2018世界ジュニアの銀メダリストが、いよいよシニアの世界へ殴り込みか。

アドリアン・ピペリ(アメリカ)が2月6日の試合で21m74の大投擲。22m82の世界新をマークしたライアン・クルーザーに次ぎ室内世界ランク2位につけた。

1999年1月20日生まれの22歳。テキサス大でコーポレート・コミュニケーションを学ぶ四年生だ。

 

21.74i

 

 

来歴

ユース、ジュニアと各世代のトップを走り続けてきたエリート選手で、2015年世界ユース選手権(コロンビア,カリ)で22m00を投げ優勝。この記録はライアン・クルーザーが保持していたユース記録を更新するものであった。

円盤投げでも6位入賞を果たす。2016年世界ジュニア選手権では20m62で銅メダルを獲得し、2018年世界ジュニア選手権(フィンランド,タンペレ)では50cm自己記録を更新するも、Kyle Blignaut(南アフリカ)に激闘の末1㎝差で敗れ22m06で銀メダル。

世界ジュニアインタビュー

 

 

同年シニア規格でも20m41を投げるなど着実に成長を見せていた。

翌2019年には弱冠20歳ながらも21mの大台を突破する21m11の自己ベストをマーク。同年全米大学選手権も制した1ドーハ世界陸上オランダ代表のデンゼル・コメネンティアに30㎝以上の大差をつけ優勝。。

しかし2020年は新型コロナ感染拡大により室内シーズンで20m98を記録するにとどまった。

2021年の初戦に20m61をマークすると、二試合目に21m12を投げ屋外のベストを上回っただけでなく、三試合目には21m74の大投擲を放ちわずか二週間で62㎝も記録を伸ばしたのである。

また、テキサス大の学内記録も更新。母校の先輩であるライアン・クルーザーが2016年にマークした21m73を1㎝更新し、学生歴代でも2位につけた2全米学生記録はジョン・ゴディナが1995年にマークした22m00.。

砲丸投げとの出会い

ピペリが砲丸投げと出会ったのは8歳の時。また、高校一年まではアメリカンフットボールをプレイしていた。しかし競技や「あまり存在感がない」フルバックというポジションに興味を持てずやめてしまった。

しかし砲丸投げには真面目に向き合った。他の選手と比べ小柄だったピペリはダイナミックな動きやスピード、パワーを駆使してハンデを埋めようとした。

テキサス大の先輩、クルーザーの背を追い続けている。ピペリは「ライアンは7フィート近くある。彼のことは見上げている(尊敬している)んだ。」と語っており、文字通りクルーザーが自分よりずっと大きいこと、尊敬していることをダブルミーニングで表現した。ただ彼に迷惑をかけたくないためつきまとうことはしないという。

 

一時は退学も考えた

恩師の存在

大学一年の時、全米大学室内選手権の時ジブ・ザイオン(Zeb Sion)と出会う。

ウォームアップ中に出会った二人。少し会話した後、ピペリが最初の一投目前にザイオンにウインクをすると彼もウインクで返してくれたという。二人はすぐに意気投合していたのである。ザイオンコーチは元ジョージア工科大学の砲丸投げ選手で全米大学選手権にも出場経験がある。スタンフォード大で二年間コーチを務め、その間11名ものアスリートを全米大学選手権へ出場させた辣腕家だ3他にも全米陸連やIAAFからCoaching educationの分野で最高クラス認定を受けている(それぞれ IAAF Level V and USATF Level III))。

「楽しい子だよ。鋭い感覚を持ち、かなりの皮肉屋でもある。個性的だが、私たちの性格は上手く調和しているんだ。お互いいつも軽いジャブを打ち合っているけど、そこには必ずリスペクトがあるんだよ。」

あまりにも仲が良いので「弟君はオースティン(兄のいるテキサス大)以外で競技したほうがいいんじゃないか?」と冗談を飛ばすこともあったという。

「トリップは間違いなく才能がある。とても努力家で、そして(精神的に)成熟している」とピペリを高く評価していた。

二年になると彼が異動するという話が浮上。そのため一時は大学を中退し別の大学へ転入することも考えたというピペリ。しかしフローリアル監督(Edrick Floreal)の献身もありテキサスで競技を続けることになった。夏の間コーチをつけずトレーニングに励んだ。その結果記録は劇的に伸び、敗れはしたが世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得。

一方のザイオンはヒューストン大学への異動を強く考えていた。しかしピペリが介入しその話は立ち消えになった。結局ピペリとの関係が切れることはなく、現在もテキサス大で指導を続けている。

今後の展望

ピペリにとって、東京五輪の代表権獲得は明確な目標である。

「絶対に代表になれると信じているよ。誰にも譲る気はない。自分が勝つんだという自信がない者が勝つことはできないんだ」

 

才能

高校時代のコーチ、Gary Madore氏はピペリの能力を以下のように評している。

「トリップの脚は毎回サークルの同じところを着いてくる。これまで色々な選手を指導してきたが、自分の技術を完全にモノにできた子はいなかった。トリップは全てを吸収している。高校一年のシーズンが終わると食事やコンディショニングのこともたくさん話したよ。彼は体の動きや流れというものを理解しているんだ。」

 

家族

父アドリアン、母エリザベスの間に生まれる。父はヒューストン大の元アメリカンフットボーラーでポジションはディフェンシブタックル。弟パトリックと妹リリーの三人兄妹で、パトリックもテキサス大の投擲選手。

 

性格・趣向・エピソード

自由奔放かつ楽しいことが大好きで外交的な青年である。自分の競技が終わると、他の種目のチームメイトを応援するなど仲間想いな一面がある。

ウォームアップの際には音楽をよく聴くが、競技に支障が出る傾向があったのでリラックスしすぎないよう心掛けている。

子供たちを指導していた時“バナナ”と呼ばれたことがある。

 

アドリアン・トリップ・ピペリ
テキサス州ウッドランズ出身、ウッドランズ高校卒。183㎝,129kg(2019年時)。垂直跳び37インチ(約94㎝)を記録している。
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