マイコラス・アレクナが67.68mの米国学生新!クラウディオ・ロメロも67.02mの大投擲─活況続く円盤投

マイコラス・アレクナ(19)の快進撃が止まらない。今春大学生になったばかりの一年生が試合出場のたびに大記録を連発している。

NCAA新記録

母国リトアニアを離れ、カリフォルニア大バークレー校の学生として競技に取り組むアレクナは62m63で上々のシーズンインを果たすと、2試合目に66m70の自己新、3試合目64m97、4試合目には66m71のセカンドベスト。シモン・ペッテション(スウェーデン)やサム・マティス(アメリカ)ら東京五輪のメダリスト・ファイナリストを下し絶対王者ダニエル・スタール(スウェーデン)にあと1メートルまで迫って怪物ルーキーの存在感を世界にアピールした。

そして4月30日、スタンフォードのCobb Track and Angell Fieldにて強風吹き荒れる中67m68の米国学生新記録を樹立した。学内新はもちろん、ローレンス・オコイエ(イギリス)が持っていた19歳時の世界最高記録67m62をも上回った。また、67m台を4本揃えるなど安定感も見せており、風の恩恵を受けたとはいえ学生新がフロックではないことは確かだ。

円盤投げが安定性に欠ける種目であることは周知の事実であり、68m以上のベスト記録を持つ選手でもシーズン序盤は60m台前半しか投げられないこともある。そんな中、今季風に恵まれた試合が多かったことは事実だが初戦を除き全て60m台中盤を揃えてきた安定性を考慮すれば全く驚きの記録というほどではなく、既に68mをも狙える力があると見てもいいだろう。

67m68はクリスチャン・チェー(スロベニア)の67m27を上回る今季世界ランク2位となる記録で、上には69m11を投げている王者スタールのみ。

まだシーズンも浅いこの時期に67m台を投げられるというだけで世界トップレベルの実力があると言ってもいい。さらにまだ19歳という若さ、金メダリスト・世界歴代2位のウィルギリウス・アレクナを父に持つ将来性。

シニア初の大舞台となるユージーン世界陸上では一体どのようなパフォーマンスで世界を驚かせるのか、楽しみの尽きない選手だ。

【シリーズ】67.68 – 65.99 – 67.52 – 61.47 – 67.03 – 67.15

アレクナに迫る21歳

アレクナやラルフォード・マリングス(ジャマイカ)ら一年生勢の陰に隠れがちだったが、2018年世界ジュニアの銅メダリスト、クラウディオ・ロメロ(ヴァージニア大)も今季安定したスローを見せている。

3月中旬に61m05でシーズンインすると、63m03,64m31,64m79と尻上がりに調子を上げてきた。自己記録は昨年5月にマークした65m78(チリ記録)であり、その更新も見えてきていた。

そして5月1日、ペンシルバニアリレーで約一年ぶりのベスト更新となる67m02を放った。国内新は言うまでもなく、今夏の世界陸上参加標準記録66m00を突破し、ヴァージニア大の学内記録も更新した。また、南米歴代ではマウリシオ・オルテガ(コロンビア),Juan CAICEDO(エクアドル)に次ぐ歴代3位の記録でもある。

今季世界ランクでもクリスチャン・チェーに次ぐ5位となる好記録であり、実力者がようやく本領発揮したといったところか。

記録や安定感では今季のアレクナに一歩劣るものの、この67m02はほとんど風がない条件で出た記録であり、好条件でアレクナがマークした67m68よりも価値があると考えても差し支えはなさそうだ。しかし、直接対決がない以上どちらの実力が上か判断することはまだ難しく、両者の“格付け”は来月上旬の全米学生選手権を待つことになりそうだ。

’22全米学生2位のRoje Stonaが65.11m

好記録ラッシュが止まらない。昨年全米学生選手権でターナー・ワシントン(アリゾナ州立大)に次ぐ2位となったRoje Stona(ジャマイカ,クレムソン大)が好調で、ここに来て自己新記録を連発している。今季は室内で砲丸投げで19m35の自己新をマークすると、屋外シーズン三試合目となる4月23日のSouth Carolina Openでは64m98を叩き出し、昨年の61m94から3メートル以上ベスト記録を更新した。

さらにその一週間後のペンシルバニアリレーで65m11まで記録を伸ばすなどアレクナら下級生から触発されたように好調が続いている。65m11は米国学生でも歴代上位に位置する記録であり、一年生のラルフォード・マリングス(アリゾナ州立大)を含めジャマイカの層の厚さを感じさせる。

参考:ペンシルバニアリレーリザルト

今後の展望

まだ5月だというのにこれだけ多くの選手が65m以上を投げてきているNCAAの層の厚さを実感するとともに、6月に行われる全米学生選手権では激戦が予想される。アレクナやロメロの力が抜けており、優勝には66m辺りが必須となってくるだろう。さらには学生勢三人目の世界陸上標準切りも現実味を増しており、世界陸上に向けて20歳前後の若い世代が台風の目となってくる可能性が十分にある。

現在スタールが絶対王者として君臨するシニアの男子円盤投げであるが、記録面だけでなくメダル争いの上でも学生勢から突き上げを食らいそうなほどの勢いが感じられる。王者スタールには世界記録はもちろん、ウィルギリウス・アレクナが保持する世界陸上大会記録(70m17,2005年)を更新するぐらいの意気込みで試合に臨むことを期待したい。

五輪王者として格の違いを見せつけられるか

 

NCAA歴代記録

参考:http://www.ustfccca.org/records-lists/outdoor-collegiate-all-time-bests?gender=1&sport=999&top=25&event=26

 

選手記録日付
①マイコラス・アレクナ67.682022/04/30
②Hannes HOPLEY67.662022/05/29
③サム・マティス67.452016/03/19
④クラウディオ・ロメロ67.022022/04/30
⑤Kamy KESHMIRI66.581991/05/31
⑥ガボル・モテ66.542000/04/16
⑦Mike BUNCIC66,421985/08/14
⑧Andrew EVANS66.372014/05/03
⑨ジュリアン・ラック66.322013/04/14
⑩Stefan FERNHOLM66.301984/07/06
㉒Roje Stona65.112022/04/28

NCAA歴代には往年のビッグネームも…

歴代14位には砲丸投世界記録保持者ライアン・クルーザーのおじであるディーン・クルーザーが65m88でランクイン。また、ゲルド・カンテルやダニエル・スタールのコーチとして知られるヴェスタイン・ハフステインソンがアラバマ大時代にマークした65m62が歴代18位に残っている。

なお、NCAA歴代記録はあくまでアメリカの大学生記録であり、国籍は考慮されないため多国籍のリストとなっている。

 

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