父の意志を継ぐのは弟だけじゃない─俺を見ろ!と言わんばかりの快進撃を続けているマルティナス・アレクナ(リトアニア,22)。これまで弟・マイコラスの陰に隠れてばかりだった22歳がまたも壁を乗り越えた。
今季世界10位相当の好記録
今月3日に64m20を投げて父・ウィルギリウスの22歳当時の自己記録に並んだマルティナスだが、そこから一週間もしないうちについに父を上回った。
アレクナのシリーズ | |||||
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一投目 | 二投目 | 三投目 | 四投目 | 五投目 | 六投目 |
X | 63.91 | 65.35 | X | 63.08 | 67.23 |
三投目で65m35を投げて自己記録を1メートル以上更新すると、四投目・五投目は力みからか記録は伸びず。
しかし最終投擲で67m23の特大スローを放ち、今夏の世界陸上ブダペスト標準記録(67m00)を突破。兄弟揃っての世界陸上出場が濃厚になってきた。円盤投げの兄弟スロワーと言えばハルティング兄弟(兄:ロバート/弟:クリストフ)を思い浮かべるファンも多いだろうが、アレクナ兄弟は20代前半にして早くもこの二人を超えるスロワーになりつつある。
自己記録でこの二兄弟を比較すると、アレクナ兄弟が138.23m(兄:67.23/弟71.00),ハルティング兄弟が139.03m(兄:70.66/弟:68.37)となりその差はわずか80センチまで迫ってきている。
最強円盤兄弟の誕生はもうすぐだ。
アレクナの血統
マルティナスの67m23は、さすがに弟の71m00と比べると見劣りしてしまうが22歳の記録としてみれば世界歴代でも上位にくるほどの好記録。
現役世界トップクラスの選手の22歳時ベストを以下に挙げてみる。
22歳時のベスト記録 | |
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ダニエル・スタール | 66.89m |
クリスチャン・チェー | 70.35m |
フェドリック・ダクレス | 68.02m |
ルーカス・ワイスハイデンガー | 60.68m |
シモン・ペテション | 63.10m |
アンドリウス・グドジウス | 63.39m |
フィリップ・ミラノフ | 66.02m |
マルティナス・アレクナ | 67.23m |
また、2018年U20世界選手権でマルティナスを破った金メダリスト,カイ・チャン(PB:64m49)や昨年弟のマイコラスを破り学生王者にも輝いた同銀メダリストのクラウディオ・ロメロ(PB:67m02)をも上回り一気に世代トップへ躍り出るほどの大躍進である。
アメリカの大学へ進学した弟とは異なり、母国リトアニアに残りJusisコーチのもとで力をつけてきたマルティナス。やはりこの男もアレクナ家の一員か、今年になってめざましい成長を遂げている。
兄弟揃って世界陸上出場はもはや既定路線。目指すは兄弟揃っての決勝進出、ひいては表彰台へと続いていく。アレクナ兄弟の調子次第では、もはやリトアニア勢のワン・ツー・スリーも夢物語などではない。