兵庫リレーカーニバル観戦記【第三回】

今年もやってきました兵庫リレーカーニバル。地元で開催される全国クラスの大会ということで2022年から観客として私も参加していますが、今年で三回目となります。

しかし本日はあいにくの雨。

一昨年も雨だったし、この数年参加した5大会(リレカ・日本選手権)のうち3大会が雨(‘22・’24リレカ,’23日本選手権)だったんですが自分は雨男なんですかね…???

男子円盤投

冷たい雨が降りしきる中、お馴染みの顔ぶれが練習試技を開始。今大会に出場している蓬田和正選手(KAGOTANI)によると、最近ユニバー記念競技場のサークルは改修されてツルツルのサークルではなくなったとか。

練習投擲でも右ネットにぶつけるファウルが続出。サークルの状態が従来とどう違うのかは不明ですが、見たままの悪条件だったことは確かです。

途中雨が弱まったかと思いきや、また強く降り出したりと天候不順が続きました。

なぜか女子円盤投の大会記録ラインが既に引かれていたのですが(54mくらい)、二投ともそのライン付近に落としていたのが湯上剛輝(トヨタ自動車)選手。彼を含め、50mラインを超えていたのは幸長慎一選手(四国大AC)と今季沖縄県記録を更新した藤原孝史朗選手(九州共立大)だけだったと思います。

堤雄司選手(ALSOK群馬)は練習二回目に右ネットにぶつけていましたし、調子は上がりきっていないように見えました。

正直なところ、練習の段階で「今日は湯上君の日かな」とは思いましたね。

それほど濡れたサークルと折り合いをつけるのに苦戦している選手が多かった印象です。

山下航生選手(九州共立大)は元々右寄りに円盤が飛ぶ傾向にある選手ですが、今日は練習からよくネットにぶつけていました。それでも本番一投目に立て直して50m74、二投目に52m99を投げて幸長選手を抑え三位に入りました。

一方、練習では調子の良さを感じさせていた同大の後輩藤原選手。しかしトライアルと本番は緊張感が違うのか、一投目46m86、二投目ファウルと先ほどまでの好投がウソのように。

このままではエイトから漏れてしまうという土壇場で50m70をマークして入賞は死守しました。

これは世界大会でもよくあることですから、いかに本番投擲のプレッシャーが大きいかということなのかもしれません。

今大会のメンバーはほとんどいつもの顔ぶれだったのですが、一人だけ生の投擲を見たことがなかった選手がいます。

びわこ成蹊スポーツ大の足立琉希選手です。今年四年生に上がった51m33のベストを持つ学生トップクラスの実力者。

よくインスタで動画を拝見していたので直接観ることができて良かったのですが、やはり悪コンディションに苦戦し10位と振るわない結果に。

でもほぼ日本選手権というメンツなのでこれは仕方がないですね。また来年も兵庫に来てぜひリベンジしてください。

ターンスピードを持ち味とする飛川龍雅選手(滋賀陸協)も春先から好調ぶりを感じさせていましたが、一回目に転倒してしまってリズムに乗り切れなかったのでしょうか。

彼は高校時代ユニバーで苦い経験をしたそうですが、あの転倒で嫌な思い出がよみがえったのではと心配になりました。

めげずにまた来年リレカに来てくださいね!

米沢茂友樹選手(オリコ)は以前から上手なターンをするなあと思っていたのですが、ここ数年は芳しくない結果が続いているようです。日本歴代十傑入りの実力者ですし、なんとかまた上位に食い下がってほしいですね。

蓬田選手はKAGOTANI応援団に見守られていぶし銀の活躍を見せました。難しいコンディションでも冷静に安定した投擲を続けベスト8を死守したのはさすがベテランといったところ。

彼が出場するたびに電光掲示板に映しだされる(87)という数字は、唯一の昭和生まれであり男子円盤投を見守る大黒柱のような存在感を放っています。

末永く競技を続けてもらいたいですね。

個人的MVPを挙げるとしたら鴨澤青海選手(東海大)と安藤夢選手(みはる矯正歯科AC)を推したいですね。

鴨澤選手は練習から気迫が凄かったですし、上位選手に食らいつこうという気概が感じられました。二回目という早い段階で50mを超えていたのも評価ポイントです。

安藤選手は大怪我からの復活を少しずつ遂げている選手で、この雨の中51m55はかなり上出来なのではないでしょうか。一時は50m超えるのにも苦しんでいましたから、着実に怪我前の状態に戻りつつあると感じられる試合だったのではないでしょうか。

湯上選手、堤選手はさすがとしか言いようがないです。二人とも一投目に58mと56mを投げて早くも一騎打ちの展開に持ち込みました。

堤選手は年齢や腰の状態もあるのか、一回目に出し尽くしてしまったようにも思いましたね。5回目6回目をパスしたのもこの状況での無理は禁物だという判断からでしょう。

きっと日本選手権ではまた王者として立ちふさがることと思います。

【追記】やはり大事をとってとのことらしいです↓

湯上選手もこのコンディションで58m22は決して悪い記録ではないハズ。どうせ肌寒いならいっそ向かい風ビュンビュン吹いてくれても良かった気がしますね。

多分ですけど、彼の場合は一回60m超えたら今までは何だったんだろうというようなブレイクスルーになるのではないでしょうか。

現地にいた人ならお分かりでしょうが、今大会はお世辞にも競技がしたくなるコンディションではありませんでした。

しかし、こういった状況でも勝ちきれる選手はやはり強いなと感じさせられますね。

男子砲丸投

なぜか17mライン一本しか引かれておらず、メートルコーンも17のみ。せめて18mも引いてくれよと思いながら競技開始。

ファウルや転倒こそ円盤投より少なかったように思いますが、こちらもかなり苦戦している選手が多い印象でした。

今季から蓬田選手の所属先であるKAGOTANIの一員となり、地元兵庫でのキャリアを再開した森下大地選手。

当然ながら兵庫民の私も応援している選手の一人なのですが、今日は中々かみあいませんでした。

一投目は投げた瞬間に落胆の声が漏れていましたし、自ら記録を消していました。

でも二投目はなぜ自らファウルしたのか疑問でした。観客席からではそこまで低い記録ではなかったように見えましたし、ベスト8を考えると記録なしはまずいのでは…と心配になりました。

私のすぐ近くにいたKAGOTANI応援団の方々も不思議がっているような雰囲気がありました(勘違いかもしれませんが)。

三投目に16m37をマークしたものの、惜しくも9位に終わってしまい残念。気持ちを切り替えてまた18mを目指してほしいです。

昨年森下選手と共にリレカを盛り上げた岩佐隆時選手(Team SSP)も精彩を欠いていました。

いつもより砲丸の軌道が低いような気がしましたが、私が一番気になったのはしきりにサークルから水をかきだそうとしていたということです。

もちろんこのコンディションでもなるべく良い状態で投げたいと思うことは悪くないのですが、これを見てシドニー五輪の室伏さんを思い出しました。

あの時の彼もサークルの状態を気にしすぎるあまりターンが乱れ、入賞を逃すという悔しい結果に終わりました。

岩佐選手も少しナーバスになっていたのでは?と勝手に勘ぐってしまいました。

実際のところはどうだったのかはわかりませんし、何なら「俺水かきやるわ」と役を買って出た可能性もありますが、悪コンディションだからこそ時には開き直りみたいなのも必要かもしれません。

彼も日本屈指の実力者ですから日本選手権では必ず良い投げをしてくれるでしょう。

今回、まだ生で見たことがなかったとある二人の投げをとても楽しみにしていました。

アツオビン・ジェイソン選手(福岡大)と山田暉斗選手(法政大)です。

アツオビン選手は凄まじいポテンシャルを感じさせる逸材ですが、試合ごとの勝ち負けは割とムラがあるイメージです。

今回も17m21を投げたのはさすがですが、右に抜ける投げが多く17m21以外は高さもあまり出ていなかった気がします。

途中野口コーチと相談したりもしていましたが、彼の場合修正力が課題であるように思います。投げが安定してくれば一気に19mまで突き抜けそうな可能性は感じるのですが…。

そのアツオビン選手を破って二位につけたのが法政大二年の山田選手。私が彼を知ったのは二、三年くらい前でしたが、他の高校生を圧倒する体躯と荒削りな回転投法が目を引きましたね。

これでここまで投げるのかと。

現在彼のフォームは突き出しに合わせるような回転という印象で、上手くパワーポジションを作ってどれだけ突き出しに力を込められるか、といった投げに見えます。

生で見てもやはり突き出しの強さは光るものがありました。アツオビン選手とはまた違うタイプの原石という感じですね。

しかしこの悪条件の中で17m74の自己新とは素晴らしい。優勝した奥村仁志選手(センコー)と山田選手だけが17mを複数揃えました。記録だけでなく、安定したパフォーマンスができるというのも飛躍のカギを握ります。

試合中の彼の表情を見てみると終始納得がいかないような表情で、もしかすると17m74も本人の中ではまだまだという感触なのかもしれません。これからが楽しみです。

奥村選手は王者の貫禄がありました。今日は練習投擲含め、彼だけ別格の感があったのは現地観戦した方も共感するところかと思います。

6投全て17mオーバー、18m台を二発。強い。強いですよ。

この条件で18m28ですよ!これは今後かなり記録の期待ができるのではないでしょうか。

女子円盤投は男子砲丸投と並行して行われていたため5回目6回目しか見れていませんが、齊藤真希選手(東海大)が56m17の大会新で優勝。二位の郡菜々佳選手(サトウ食品アルビRC)に3メートル以上差をつけての圧勝でした。記録も55m前後で安定しており、彼女もまた今後記録が期待できる選手の一人ですね。

女子円盤投を少しでも世界の舞台へ近づけていただきたいです。

さいごに

私はこういった活動をしている以上様々な選手の動画を見るのですが、やはり実際試合に来てみると画面の中の選手も生身の人間だなと感じますねえ。

男子砲丸投を観戦してる時に蓬田選手と足立選手、女子円盤投終了後観客席を離れて歩いている時に山下選手(らしきデカい人)、通路を歩いている時に飛川選手を見かけました。皆至近距離で見れて面白かったです笑

自分は人の顔覚えるのめっちゃ苦手なんですけど、見慣れた人ならすぐわかるもんですね。話しかけてみたいけど一体どんな反応さHAHAHAAHAHA…

でも記念写真くらいは思い出に撮ってみたいないつかは。